山﨑鈴子 池坊 月刊誌『華道』2023〜2024 表紙絵原画展
■作品紹介
「日出」6号S
2023年1月号
「花と蜜蜂」6号S
2023年4月号
「潤うとき」6号S
2023年6月号
「風に吹かれて」6号S
2023年9月号
「雪中花」4号S
2024年2月号
「桜の便り」4号S
2024年3月号
「百合と花器」4号S
2024年7月号
「菊の花」4号S
2024年11月号
■会期
2025年3月27日(木)~4月6日(土) 10:00~18:00(会期中無休)
大雅堂1・2F展示室
作家在廊予定:3月30日(日)
■展覧会に向けたコメント
この度、日本華道社出版の月刊誌『華道』の表紙画制作という貴重な機会を賜り、関係者の皆様に心から御礼と感謝を申し上げます。
また、作品を観ていただきました全ての方にも御礼申し上げます。
私は、中学生の頃から芸術に携わることに憧れを抱いていました。その目標が叶い、14年が経過した昨年、画業に終止符を打つ選択をせざるを得ない極めて苦しい状況に追い込まれ、鬱状態にまで落ち込みました。
私はこの道に進んだ自分自身の選択を初めて疑い、激しく責めたほど、その時間は悔しく苦しいものでした。
その中での制作となりましたが、これほど芸術のありがたさを知った年は他にはありませんでした。
様々な美しい生け花の作品に触れたことで私自身の考えも変化し、使用する素材を年毎に変え、様々なバリエーションで描くことができ、試行錯誤の連続で充実した時間となりました。
それを契機に新しい挑戦を始め、新たな縁が繋がっていく不思議な体験をしました。それは、今まで私自身が積み重ねてきた経験なしには得られなかったものばかりで、過去の自分自身が繋いでくれた結びつきだったのかもしれません。
表紙画の制作は間違いなく10年後振り返った際に、私の作家人生の大切な転換期になったと感じるでしょう。
2013年に初個展で発表した「闇に咲く蓮の花」の作品も辛い時期に絞り出したもので、私を光へ導いてくれました。花はいつも私の少し前に咲いてくれて、次の道を照らしてくれているようです。
この2年間は、多くの縁が終末を迎えた中、師匠や仲間達の存在が力になり、再び筆を持つことができました。 歩みを止めていたら生きる気力すら湧かなかったでしょう。
今後もこの経験を活かし、広い視点で作品制作を行なってまいります。
最後に、展覧会開催にあたりご尽力頂きました大雅堂の皆様には、心から感謝申し上げます。
山﨑鈴子
山﨑鈴子『華道』表紙絵原画展によせて
15世紀から16世紀にかけて活躍した池坊専応は『池坊専応口伝』において、花の美を鑑賞するということは、自然の姿を通して、宇宙を体感するものという。冬になれば枯れる花は、盛者必衰の理を表すことだし、冬も色を変えない松や檜は、宇宙万有不変を表す。池坊専応にとって華道とは単なる美的鑑賞の域を超えていた。日本の草花は美しいばかりでなくもろく、はかない。その推移凋落する姿を通して、花を生けることが精神的に深い意味を持つものとして発展してきた。池坊の華道には宇宙の体得の意識に加え、命の大切さに万感の思いが込められている。
その池坊の月刊誌『華道』の表紙は、だから誰にでも描けるものではない。多種多様な草花を描ききれる筆力に加え、命を愛おしみ、その姿の延長に宇宙の理を浮かび上がらせることのできる画家でないと、たちまち門弟から厳しい視線が送られたことだろう。
それを二年間にわたって見事に描き、重責を終えた山﨑さんは、私が京都造形芸術大学の学長を務めていた時期、同大学の大学院博士課程に学んでいた。抜群の画才、誠実で何事にも懸命で真摯な姿は今も変わらない。だからこの毎月の表紙を安心して眺めていた。山﨑さんとって、自分の進むべきべき方向性を見据えた、伝統と革新のせめぎ合う試行錯誤の日々であったことだろう。
千住博(日本画家・日本芸術院会員、池坊文化・芸術財団評議員)
■プロフィール
1983年東京都出身。
2014年京都造形芸術大学大学院 芸術研究科芸術専攻 修了(博士号取得)。
日本の伝統的な絵画の技法を主軸に、漆黒の闇に咲く花の作品で多くの評価を得た。
近年では、絵画にとどまることな く表現の幅を広げ、独自の画材研究と様々な表現技法を用いた作品を制作している。
【主な展覧会歴】
2010 年 日米美術学生展 inNY(イセ文化基金ニューヨークギャラリー/NY)
2011 年 グループホライゾン(髙島屋日本橋)
2012 年 グループプレシャス(髙島屋京都)
アートフェア東京2012(新生堂ブース 東京国際フォーラム)
独創の旅 千住博期待の若手作家10人展(康耀堂美術館/長野)
風の会(日本橋三越/東京)
銀河の会「千住博と若い芽たち」絵画展VI(近鉄百貨店阿倍野/大阪)
2013 年 グループプレシャス(髙島屋京都)
個展「Midnight」(parc Gallery/京都)
個展「Middle World」(新生堂/東京)
千住博の弟子たち展(軽井沢千住博美術館/長野)
グループホライゾン(髙島屋日本橋、横浜)
2014 年 Horizon Of Choice(山之内町立志賀高原ロマン美術館/長野)
日本画年鑑30周年記念展(ギャラリー花いろ/京都)
京-華 日本画三人展(髙島屋京都)
東美アートフェア(東京美術倶楽部)
Horizon Of Choice(山之内町立志賀高原ロマン美術館/長野)
2015 年 個展「Reflection」(髙島屋新宿)
グループホライゾン(髙島屋日本橋)
2016 年 個展「AROUND」(髙島屋横浜))
個展「Piece By Piece」(新生堂/東京)
2017 年 個展「Under the rose」(日本橋三越/東京)
グループホライゾン(髙島屋日本橋、横浜、大阪)
2018 年 個展「花に尋ねる」(髙島屋日本橋、京都)
2019 年 個展「花のかんばせ」(髙島屋横浜、大阪)
グループホライゾン(髙島屋日本橋、京都、横浜)
2020 年 個展「Curtain」(新生堂/東京)
2021 年 個展「零時点」(大雅堂/京都)
グループホライゾン(髙島屋日本橋、大阪、京都)
個展「COLORFUL」(髙島屋新宿、名古屋)
2022 年 個展「星のカケラ」(西武池袋、そごう大宮)
高輪会(グランドプリンスホテル高輪)
銀河の会IX 千住博と新しい日本画(あべのハルカス近鉄/大阪)
2023 年 個展「石に花咲く」(日本橋三越/東京)
2024年 銀河の会X 千住博と新しい日本画(あべのハルカス近鉄/大阪)
【主な受賞歴】
2005 年 第20回国民文化祭ふくい2005美術展日本画部門 佳作
2009 年 ALBION AWARD2009 銀賞
2011 年 第26回国民文化祭・京都2011美術展日本画部門 文部科学大臣賞(最高賞)
京都花鳥館賞奨学金2011 優秀賞
2012 年 康耀堂美術館賞
公募-日本の絵画2012- 大賞
2013 年 川尻筆「筆と芸術の祭典」全国水墨画公募展2013 有限会社榮光賞
2014 年 京都造形芸術大学大学院修了制作展 千住賞・佐川美術館賞
2016 年 2016年度 松蔭芸術賞
2017 年 アートオリンピア2017一般部門 実行委員特別賞
【その他】
2007 年 NHK BS ハイビジョン特集シリーズ天才絵師の肖像 「美で乱世を制した絵師 狩野永徳」国宝「花鳥図襖」(大徳寺)復元模写 参加
2009 年 島根県浜田市立石正美術館 天井画制作 参加
2019 年 襖絵「常世図・現世図」奉納(天祐寺/長崎)
作品「二重奏」奉納(高野山金剛峯寺/和歌山)
山本音也著書『高野山』の装丁に作品が使用される
2021 年 髙島屋お中元・お歳暮メインビュアルに採用
2022 年 「百々登勢1970×花開く」大丸・松坂屋にて限定発売
2023 年 月刊誌「華道」日本華道社出版 表紙画担当(〜2024年)
【コレクション】 康耀堂美術館、佐川美術館
■展覧会風景